酒井

ピアノの森の酒井のネタバレレビュー・内容・結末

ピアノの森(2007年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

いつか見よう見ようと思って見れていなかった映画。原作未読。
森の中に佇むピアノの情景が美しい。錯綜する海と修平のピアノに対する気持ち。繊細な感性を感じる。
海と修平のピアノに対する価値観の違いのぶつかり合いを経て、海はピアノに真剣に向き合う事を得るし、修平はピアノを自分が弾く意味を見返す。海は不思議な間の持ち主で、最初はつっけんどんでも自分の懐に入って仕舞えばすっと色々な物を吸収して成長していく。修平は物腰柔らかく見えるが頑なで、年相応にぐらつく事はあってもぐらついた分だけより強い意志を持てる。お互いに深く影響を受けていく。
とても綺麗。作画も綺麗なんだけれど、作品全体が。才能に対する嫉妬や、二人の薄暗いバックボーンだったり、胸が締まるようなすれ違いがあったりもするんだけれど、それでもぼんやりと優しくぼんやりと輝いているような世界観。木漏れ日がピアノを照らす光景はどのシーンにもちゃんと横たわってる。見た後にノスタルジックな感傷が胸に残る。
海と修平の関係の繊細さに他のキャラの厚みがついてこれていない気がするけれど、原作なのかそれとも尺の都合なのか。でもスポットは基本海と修平なので。タカコはめっちゃくちゃ可愛かった。便所姫。
酒井

酒井