イチロヲ

愛欲の魔女狩りのイチロヲのレビュー・感想・評価

愛欲の魔女狩り(1975年製作の映画)
4.0
魔女率いるカルト教団に魅入られた青年が、自身の美しい妻を生贄として捧げてしまう。邪教に接触した夫婦の顛末を描いている、エロティック・ホラー。現行の映像ソフトは、きちんと「ケガミエル夫人」になっている。

いわゆるひとつの「聖なるエロティシズム」(by バタイユ)を根底にしている作品。前半部は、カルトの通過儀礼に挑もうとする夫視点のドラマ。後半部は、本人の意志に反して教団に引き込まれた妻視点のドラマ。

教団内部の"非日常的な日常"がエモーショナルに描かれており、バキバキのサイケデリック・トランスを味わうことができる。磔状態での鞭打ち行為だとか、打楽器に合わせた裸踊りだとか、家畜扱いされる美人妻だとか、絵面が面白いことになっている。

"生(性)と死の表裏性"というバタイユの哲学がストレートに落とし込まれているため、エロティシズム論の普遍性を確認することが可能。隷属の歓びに溺れながら、死を迎えるというのも、ある意味で幸せなことなのかも知れない。
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