乙郎さん

シェラ・デ・コブレの幽霊の乙郎さんのレビュー・感想・評価

シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)
3.0
現代の作家がタイムマシンに乗ってこの時代で撮ったような印象を覚えた。良くも悪くも。
この時代のモノクロ作品の美点である端正なショットや、屋敷の作り込まれた、でもどこか違和感を覚える美術など、世界を構成するものが非常に強固なのだけれども、そこに暴力的に割って入る霊現象。特に最初の霊現象など、この時代にこんな速さあるんだと思えた。
一方で、不協和音がドローン的に鳴る中で会話が進められる感じは最近の映画っぽい。というよりもデイヴィッド・リンチ。
惜しむらくは、この作品がジャンルとしてはミステリに収束していき、終盤が顔のアップばかりになってしまったこと。
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