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遠い喇叭のodyssのレビュー・感想・評価

遠い喇叭(1963年製作の映画)
3.0
【家父長の寛容を示す西部劇】

BS録画にて。

南北戦争のあとの時代、アリゾナ準州、つまり当時で言えば西部の最前線にやってきた陸軍士官学校出たての若いハザード少尉が、一方で最前線基地の規律を立て直し、白人を殺したインディアンには厳しく対処するものの、相手が投降すると彼らのために居住地を確保しようと努力する・・・というような話です。

1964年公開の映画ですから、このくらいの軍人でも進歩的というか、良心的なつもりで制作側が作ったんでしょう。(でもそろそろ公民権運動が盛んになりつつあった時代なんですけど。)

たしかに、彼は自分の斥候の役を果たすインディアンを大切にしており、それを差別的に扱う他の軍人に抗議したりしています。

でも、最後を見れば分かるように、彼の良心とは、インディアンはあくまで白人の価値観に従うべきだし、その限りで居住地を保証するというものに過ぎません。むろん、時代設定は19世紀後半(1883年)ですから、今現在の価値観を彼に求めるのは酷な話ではある。

でも、19世紀ではなくても映画が作られた1960年代前半の米国の価値観はこのくらいだったし、ある意味、今でも変わっていないのではないでしょうか。所詮は家父長の寛容であり、「オレに従うなら悪くはしないよ」なんですからね。

時代の限界、そして米国の限界を濃厚に感じさせる映画です。

なお、女優がふたり出ています。まず、主人公のハザード少尉がやってきた最前線の砦の指揮官をしている中尉の妻キティ。スザンヌ・プレシェットが演じていますが、黒髪のチャーミングな美人。やがて中尉は出張で不在になり、主人公と恋仲になってしまう。
しかし実は主人公には婚約者ローラがいて、やがて砦に訪ねてくる。こちらを演じるのがダイアン・マクベインで金髪美人。
でも私としては中尉の妻のほうが好みだなあと思っていたら、映画のほうでも・・・(笑)
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