イチロヲ

サイコティックのイチロヲのレビュー・感想・評価

サイコティック(1974年製作の映画)
5.0
公安の追跡調査を受けている中年女性(エリザベス・テイラー)が、幻の恋人を追いかけるべく、イタリア・ローマへと出立する。ミュリエル・スパーク著「運転手」を映像化している、サイコ・スリラー映画。

魔性の女の幸福論と性倒錯を高次へと引き上げ、厭世家としての言動をトリップ映像のように描写している作品。単なるウーマンリブに留まらず、虚無と退廃に支配されたニヒリズムが織り込まれている。アンディ・ウォーホルの特別出演も見どころ。

四十路のエリザベス・テイラーが、サイケ柄の洋服を身にまとい、支離滅裂な発言を繰り返しながら、ロードムービーを展開。考えていることが、分かりそうだけど分からない。刹那的に見えて、計画的にも見える。気持ち悪さが、気持ち良い。

「主人公が行動を取る→主人公と接触した人間が、警察の聞き取り調査を受ける」という反復パターンが採用されており、「主人公までたどり着かせてくれない焦らしプレイ」に笑わせられる。煙に巻かれる感覚に酔いしれることができる逸品。
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