YasujiOshiba

サイコティックのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

サイコティック(1974年製作の映画)
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N座1。23-29。イギリス版BD。撮影監督はヴィットリオ・ストラーロ。いや映像がめちゃきれい。H氏もどうやってあの逆光を撮ったんだと感心してた。冒頭の人形のシーンからはじまり、ラストの遠景から近景の現場へと移動するパノラマショットまで。切り返して空虚を映し出すところなんて、あっとおどろいてしまう。

編集はフランコ・キム・アルカッリ。時間の編集がみごと。フラッシュバックというよりもフラッシュフォワード。事件が起こるメインの時間に対して、未来のカットが流れ込んでくるという手法。アルカッリはジュリオ・クエスティの盟友だからね。

そして音楽。ヴィスコンティの作品で知られるフランコ・マンニーノのピアノ曲。みごと。映像だけでなく音楽の耽美主義。形式的な美しさはやっぱり重要。パトローニ=グリッフィの映画とぴったり。

そのパトローニ=グリッフィで最初に観たのは『悦楽の闇』なんだけど、ほんとに綺麗だったんだよね。ああ、ファシズムをこんなふうに描けるのかと、びっくりした覚えがある。
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