3部作のテレビドラマの完結編として製作された浦山桐郎監督の遺作。
浦山桐郎と吉永小百合といえば彼の監督デビュー作でもある『キューポラのある街』が思い出される。
テレビドラマ版は未鑑賞のため分からないが映画としては何ともアンバランスな作品。メロドラマ基調な後半に前半の事件や芸者それぞれの話が不要かのように傍流に追いやられる。
病気を患っていて薄幸な役が似合う吉永小百合。80年代の彼女はこのイメージ。今回は原爆症により白血病に罹るという難しい役を演じている。
味があって声もいい北大路欣也が男臭くて良い。
しかしこの2人がここまで惹かれ合うようになった動機は一体何なのだろうか。余命半年の女性と心に闇を抱えた逃亡犯の男性。追い詰められた2人にしか分かり合えない何かがあるんだろうな。