爆裂BOX

変態島の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

変態島(2008年製作の映画)
3.2
津波で幼い息子を失ったポールとジャンヌ夫妻。隊、プーケットトウで恵まれない子供たちを支援する篤志家のパーティに参加した二人は、ミャンマーの子供達を映した映像に死んだはずの息子の姿を見つけて…というストーリー。
「変態村」のファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督によるサイコ・スリラーです。
息子が生きていると半狂乱になったジャンヌを宥めてポールは息子を探しに行く決意をし、ミャンマー国境の小さな島に向う。現地のブローカーに騙されながらも二人はジャングルの奥に進んでいくが、という内容です。
ジャケットでは「5分に一回、変態の連続!」等と謳っていますが、全然変態要素はないです。なのでタイトルからそれ期待したら大爆死しますね。
ミャンマーの子供達を映した映像に津波に攫われて死んだ息子ジョシュアが映っている!と息子が生きているか確かめるためにミャンマーのジャングル奥地に向う夫婦の物語ですが、ホラー的な描写などはあまりなく、夫婦が顔役のブローカーに騙されて大金せびられたりトラブルに見舞われて、更に息子はもう生きていないと見間違えだと思い始めた夫と妻の間に亀裂が入り疑心暗鬼になり追い詰められていく姿が描かれており、雰囲気重視の作りでテンポはゆっくりしており冗長な印象を受けますが、島のオリエンタルで退廃的な雰囲気や、東南アジア特有のジメジメした空気感は悪くないんじゃないでしょうか。死者の魂を送るぼんぼりみたいなのに火をつけて浜辺から空へ飛ばすシーンの幻想的な雰囲気も悪くなかったですね。
息子が生きているという妄執に捕われた妻シャロンを演じたエマニュエル・ベアールの気だるげな美貌も映画の雰囲気に合っていたんじゃないでしょうか。結構最初の方から狂気じみてるんですが、物語が進むにつれて壊れていく姿を熱演していました。夫ポール役のルーファス・シーウェルも、最初は妻の言う事信じながらついていきますが、度重なるトラブルに苛立ち妻に息子の死を受け入れるように言ったり、酔っぱらって錯乱状態のようになったりする演技良かったと思います。
終盤の集落に辿り着いてからは「地獄の黙示録」を思わせる様な雰囲気が漂っていましたね。この終盤に入ってから一気にホラー感出てきたと思います。身体に泥を塗って顔を白や赤で塗った子供達は結構不気味でしたね。終盤の展開は「ザ・チャイルド」っぽさもありました。あの子供達は一部の選ばれた者以外の大人は皆殺してるのかな。小屋にいた老人二人は同じく選ばれたのか捕虜なのか。無数の子供達が取り囲んでくる所も不気味さあって良かったですね。ここでいきなり内臓引っ張り出すグロ描写が出てきたのにはちょっとビックリでした。しかし散々振り回されてあんな結末辿ったポールは可哀想だったな。
ラスト、ヒロインが受け入れられたのは何故なのか、そもそもあの子供達の王国は一体?など謎を残したまま終わりましたね。
タイトルから変態モノを期待するとがっかりすると思いますが、雰囲気重視の退廃的で異様なサイコスリラー好みの方なら見ても良いのではないでしょうか。