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山椒大夫のKtoのレビュー・感想・評価

山椒大夫(1954年製作の映画)
5.0
【One-liner】人身売買で親と生き別れになった兄弟の苦悩と復讐劇
【芸術度】★★★★★
【感想】
もともとは口承文学であった話を森鴎外が小説化した「山椒大夫」の映画化。

雨月物語を彷彿とさせる芸術的な撮影が終始印象的だった。特にあの入水シーンはとても幽玄で幽霊画のような冷たさがあった。

女性映画の巨匠と呼ばれた溝口健二のストイックで美的な演出と早坂文雄のアヴァンギャルドな音楽が本当にかっこいい。

奴隷の拷問シーンや病に倒れるところはとても血気迫る演出で、見ていてかなり苦しい。米国の批評で「山椒大夫はホラー映画だ」と評されることもあるのは納得できる。めっちゃ怖い。

あと、母が子の目の前で攫われる所はものすごく怖い。露骨な恐怖演出ではないんだけど、人買いの素っ頓狂な笑い方とか冷めた空気感とかが逆にトラウマ。
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