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山椒大夫のTPのレビュー・感想・評価

山椒大夫(1954年製作の映画)
2.7
★1989年に続き2回目の鑑賞★

 中世の民衆芸能を原話として森鴎外が執筆した原作を映画化。そのような出典であるがため、正直、ストーリーは凄くおおざっぱで単純でご都合主義的なところも多い。
 また、私の苦手な中世以前(平安時代)を舞台にしていることもあって、内容的には何ら取り立てるものはない。

 それと、田中絹代と香川京子(顔の造形と当時としてはかなりの高身長(162cm)であることから長澤まさみとよく似ている)の熱演は素晴らしいのだが、厨子王を演じた花柳喜章が、香川京子より背が低くて顔が大きく、大変申し訳ないが「とっちゃんぼうや」的な佇まいであるため、父親の敵を討つという役柄の割に映画的見栄えが非常に悪く、役者的な魅力はこの映画からは感じられない。

 一方で、移動クレーンを多用した「画」は、どの場面を切り取っても芸術作品として超一級品であり、様々な場面で感嘆してしまう。
 しかし、私の映画評価基準において芸術性は、ベースがあっての加点要素でしかないので、世間一般に評価が高い本作も、ベースでの評価は低く、芸術性だけで総合点が高くなることはない。

 「祇園囃子」「近松物語」と3作溝口作品を観ているが、どれも評点は3点未満。どうも私には合わないらしい。
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