Yoshishun

電撃ニック/復讐のバトル・ベイのYoshishunのレビュー・感想・評価

2.0
ジャンゴでお馴染みフランコ・ネロ主演、B級感満載なタイトルだけでも映画ファン大興奮なアクション大作!


……と思いきや、何じゃこりゃ。

緩い、とにかく緩い。
『電撃ニック 復讐のバトル・ベイ』という如何にもアクション増し増しな感じを醸し出してるにもかかわらずだ。
本当に緩いのだ。

何が緩いのかって、まず言わずもがなアクションだろう。愛舟を破壊され怒りに燃えるニックと、その破壊した企業の関係者との追いかけっこはスピード感の欠片もなく、『ミッション:インポッシブル』のトム走りを10倍希釈した生ぬるさ。全くもって真剣さが伝わらない。そしてある意味伝説ともとれるクライマックスでの連続ダイビング。流れ作業の如く海に吸い込まれていく敵キャラたちが情けなさすぎた。

そして、ストーリーも緩い。
先程の追いかけっこの最中、ニックはパコという少年と出会う。彼に匿われるのはまだ理解できるが、あろうことか呑気にトランプを始めるのである。しかもこれが異様に長い。その後何事もなかったかのようにパコの正体が明かされ、ニックの命運をトランプごときで処理されていく始末。さらにさらに、劇中で死んだと思われていたパコの祖父があっさり出てきたりもする。舟を通じて二人の絆が深まっていく過程は本作唯一ともいっていい利点であり、様々なシチュエーションを通して描いていたのは良かったと思う。

さらに、音楽も緩い。
まさに本作の緩さの元凶とも言うべき要素であった。何をしていても何処か平和なBGMしか聴こえてこない不思議。

ただそれ以外は、最早ウケ狙いだとしても、あまりに緩すぎる。アクション映画としても、仮に冒険映画だとしてもこれでは一般上映できるクオリティではないと感じた。気が向いたら『続・荒野の用心棒』でも観るとしよう。
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