【無理筋でした】
構想としては面白いと思うんだけど、結果として成功していない。
つまり壮大な法螺話なんだから、それらしく作らなきゃいけないわけ。ウソでもいいからもっともらしく、ね。
ところがそこがダメなんだな。物理学ってのは、人による得手不得手の差が特に激しい学問だ。大学院生をも含む大学の物理学ゼミに、劣等生が入り込めるわけがない。それを無理にそういう設定にしたいなら、いくら荒唐無稽でもいいからそれが通るような筋書きにしないといけないんだけど、その辺、実にいい加減だよね。
ヒーローは最初にヒロインに物理学の学力を試す質問をされて、アウトだったわけでしょ。そこで話は終わっているんじゃない？ もしそこで終わらないなら、終わらない理由をこれまた無理してでもでっちあげないといけないのに、そこでまたすっ飛ばしているんだよね。
要するに、この映画は話の大事なところを徹底的にすっ飛ばしているわけ。画像はたしかに迫力があるけれど、筋書きがダメダメなので、説得力がまるで出ていない。いくら谷村美月が胸元を見せたって、ダメなものはダメなんだよ（笑）。
あと、石田ゆり子もミスキャストじゃないの？ 物理学教授の感じが全然しないなあ。この人、以前も或る映画で刑事の役やったけど、全然それらしく見えなかった。今回も、物理学という難しい学問のプロフェッサーやっている臭みみたいなものがまるっきり出ていない。私が思うに、この女優、主婦とかＯＬとか、ものを教えるなら中学教師くらいじゃないとそれらしい感じが出せない人だと思う。きわめて平凡な印象から外に出られない女優だからだ。
