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モンド・トラッショのBONのレビュー・感想・評価

モンド・トラッショ(1969年製作の映画)
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父親に借りた2,000ドルで製作し、「究極のトラッシュ・フィルム (クズ映画)を目指した」と語るジョン・ウォーターズの商業デビュー作。

男の裸の撮影が警察に見つかり裁判沙汰となるなど、全米にセンセーショナルな話題を振り撒き、『ピンク・フラミンゴ』(1972)でお馴染みのスーパーカルトスター"ディヴァイン”を誕生させた記念すべきドブ (GUTTER) 映画。

キャデラックを走らせるディヴァインが、裸のヒッチハイカーを見つけ卑猥な妄想に耽っているうちに、脚大好き男に"脚”を犯された無名のファッション大好き女を轢き殺してしまう。死体と一緒にボルチモアのゴミのような町を這いずり回る奇跡の1日を描いた物語。

ほとんどサイレント映画のような作風で、16mmフィルムで撮影された荒々しいモノクロームの映像に、50~60年代の誰もが知るロックからジャズ、オペラまで、著作権を完全無視した膨大なサウンドを滅茶滅茶に引用していくオーディオ ・コラージュが最高にイカした映像になっている。悪趣味な要素を目いっぱい詰め込んだ本作はウォーターズのデビュー作として大変楽しめた。

モントリオールを拠点に置くラグジュアリーセレクトショップで、日本では通販サイトで知られる「SSENSE」の、「ジョン・ウォーターズには、お見通し」というインタビューが面白くて何度も読んでまう。やっていることは昔からショッキングで変わっていないのにも関わらず、世間からの評価は高まっていくという生粋のエンターテイナーを今後も追っていこうと思う。
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