Hoshiduru

コントラクト・キラーのHoshiduruのレビュー・感想・評価

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)
3.2
すごく好きな空気感・テンポ感なのに(特に理由もなく)ハマらなかったなあ……というのは少し残念。

様々な構図での立場の逆転が軽やかに描かれていて、不思議と生きることが少し気楽になる感じもあった。

死を求めて走っていたはずなのに気がついたら死に追われるようになり、立ち向かうようになり……、というようにくるくるとした変化の中で、本来遠くぼんやりとしたはずの「死」という存在が、どこか手触りのあるものであり続けるのが面白かった。

奇妙なようで意外と理屈は通っていて、例えば彼は死ぬことに失敗して初めて、誰かに助けを求めるけれど、これこそが生きるために必要なことなんじゃないかと思う。

そういえば、本当に限界になった時、自分が死ぬ日を決めた瞬間から(あくまでその日まで、だったけれど)割と気分が軽やかになって色々なことが上手く運んだことが何回かあって、あれは自分が運命をコントロールできるという一種の効力感を生むセルフエンパワメントだったんだろうなあと思ったり。

うーん、こうやって整理してみると、ハマらなかった理由は、ばからしいと自分でも思うけれど、嫉妬なのかもしれない。内面的な変化も含めて、彼が迎えた展開が自分に訪れなかったことへの嫉妬、というか、どこかでその展開を期待していたことに気づくのを避けていたような。だから、もうちょい健康な時、というか自分と距離を置いて観れる時、に観たら多分めっちゃ好きだった気がする。
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