marimo

コントラクト・キラーのmarimoのレビュー・感想・評価

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)
3.8
旅先で映画館
ぼっち旅行での贅沢な時間

訪れたのは長野県上田市にある「上田映劇」

昭和をそのまま切り取った外観と
内観は昭和レトロを残しつつも古民家カフェのようなオシャレ空間

年季は入っているが手入れが行き届いた清潔感

劇場に入ると座席は自由席で10名程度がチラホラ
それぞれ自分だけの定位置が決まっていそうな地元のお客さん
中央のやや右寄りの席に座ってみる
ふと前の座席のシートに目をやると名前が刻印されたプレート
これは上田映劇特別会員になると年間シートオーナーになれるというもののようです

間もなくして上映開始のブザーが鳴る
暗転した劇場内は一切の光がない暗闇に
シネコンではなかなか味わえない状況に思わず心が躍ってしまう

今回鑑賞したのは”コントラクト・キラー”
「愛すべきアキ・カウリスマキ」と銘打たれた特集上映です

そもそも私
恥ずかしながらアキ・カウリスマキの作品を観たことがなく
少し前に公開していた”枯れ葉”も足を運べず仕舞いでした

いやあコメディなんですね笑
面白かった!

とにかくシュールなんですけど
シーンの切り替わりの間とか
それぞれの行動の顛末とかが面白い

作品としてはリアリティよりも映画表現ならではの世界観
映画表現だからこその時間経過や人物たちの行動の行間

リストラされて生きる希望を失った男が
自分では死ぬことが出来ずに殺し屋を雇って殺してもらおうとする
ただとある女性と出会いをきっかけに生きる希望を見つけたことで
殺し屋から逃亡生活が始まる

…そんなとんでもストーリーなのですが
全く無駄なシーンの無い展開で
ゆっくりな時間の流れの作品でありながらテンポはよく
映画ならではの省略が心地よい

この雰囲気好きでした

旅先で訪れた映画館でたまたま出会えた作品
映画表現って本当に面白いなと思える一本でした
他のアキ・カウリスマキ作品も観てみたい

自分からだと出会えない作品が見つかる”旅先で映画館”ちょっとハマりそうです

劇場を出るとその区画だけがそのまま過去に繋がっているようなノスタルジーも
映画鑑賞が特別なものになる良い楽しみ方でした

この景色がずっと変わらずに残ってくれると嬉しい
-------------------------------------------------------------------------------
劇場名 :上田映劇
上映日 :2024/04/29(月)
上映時間:11:10 ~ 12:29
上映作品:コントラクト・キラー
座席  :自由席
marimo

marimo