ケーティー

パンチラインのケーティーのレビュー・感想・評価

パンチライン(1988年製作の映画)
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「人間はみな神の描いたマンガだよ」という台詞が象徴するように、芸人の悲喜交々も垣間見せていく作品


アメリカの寄席で漫談するコメディアンを描いた映画。売れない主婦の芸人が、医学部を退学になった若者の芸人に弟子入りを志願し、物語は思わぬ方向へ展開していく。

メイン2人の出会いが遅いなど、前半や中盤の展開にはかったるさもあるが、終盤の芸人の緊張感やプレッシャーの描写には真に迫るものがある。「火花」よりも、そのあたりがよく描けている。

ラストのオチには、アメリカの道徳観がつまっているともとれ、今公開すれば、「アニーよ、銃をとれ」のように男尊女卑の映画だと非難する人もいるかもしれない。しかし、ラストのオチを表面的にとらえるとそうなるが、必ずしもそうではないようにも感じる。先に書いたように芸人の本番前の緊張感や、老芸人の語るコメディアンの悲哀など、芸人の厳しさを描き、それを主人公は知ったからこそ、また、主人公がそもそも芸人をやりだした目的(家庭での居場所をなくした主人公が自分らしく生きることと、夫とまた仲よくなること)を達成したからこそのラストであり、そこには深掘りしてくと、しっかりとした根拠の設定がある。


【補足】
アメリカンジョークの連続で肝心の各コメディアンのネタの面白さを読み取れなかった。もっと英語を勉強しなければならない。