シンタロー

ブラック・サンデーのシンタローのレビュー・感想・評価

ブラック・サンデー(1977年製作の映画)
3.7
「ハンニバル」シリーズのトマス・ハリスによる問題作をジョン・フランケンハイマー監督が映画化。
家族を奪われた孤高の女テロリスト、ダーリアを中心としたパレスチナの過激派"黒い9月"のメンバーがベイルートに集まった。ベトナム戦争で心を病み、復員後も冷たい仕打ちを受けて、母国への復讐に燃える元軍人、マイケルと手を組んで、アメリカで大量殺戮をするテロ計画を立てていた。そこへカバコフ少佐が指揮を執るイスラエルの諜報特務庁が突入。奇襲に成功するが、カバコフは全裸で怯える女を首謀者とは知らず、見逃してしまう。発見したダーリアの声明から、年明けのテロ計画を見抜くのだが…。
本国では高評価を受けたものの、諸事情から日本ではお蔵入りとなっていた訳あり作品。ちょっと長過ぎるし、御都合主義でツッコミどころはあるものの、70年代パニック映画ブームの中でも高水準な出来栄えで、未公開はもったいない。テロリストに身を落とすダーリアとマイケルの悲惨なバックボーンが丁寧に描かれ、悪役として一面的に捉えていない人物描写が秀逸。この二人によるショッキングシーンも見どころで、電話を利用した顔面爆破や、ダーツ爆弾による全身針地獄等々、残酷非道。スーパーボウルのシーンは臨場感あふれる見事なカメラワークで、よく撮れたなぁと感心。飛行船での空中アクション、銃撃戦等々、手に汗握る展開で、演者の熱演が光るクライマックスは素晴らしい。
派手なキャスティングが多い70年代パニック映画としては、出演者はちょっと地味。まぁこの内容じゃスターは出たがらないか。マルト・ケラーは一世一代の大熱演で、本作は彼女の代表作でしょう。国籍年齢不詳っぽい見た目、訛の効いたハスキーボイス、アクションに耐えられる程よいゴツさがぴったり。今回も目がイッちゃってるブルース・ダーン。病んでる役とはいえ顔怖!この二人の熱演が鬼気迫るので、追い詰める側のロバート・ショウはアクションシーン以外見せ場少な目。元々は悪役顔なので、ヒーロー然としないこの役には合ってたと思います。
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