町蔵

辺境の追跡の町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

辺境の追跡(1955年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

〈アラン・ドワン特集〉
■1910年代よりプロデューサー兼監督として1950年代まで活躍したアラン・ドワンはグリフィスより5才年下でフォードやウォルシュより少し年上の巨匠となった。ありとあらゆるジャンルの作品を監督したが、50年代にベネディクト・ボジャースと組み、撮影のオルトンとともに作ったテクニカラーの名作。
「辺境の追跡」
Escape to Burma
1955/U.S.A./テクニカラー/87min
監督:アラン・ドワン 撮影:ジョン・オルトン 
脚本:タルボット・ジェニングス ホバート・オルトン
出演:バーバラ・スタンウィック、ロバート・ライアン、
   デヴィッド・ファラー
●イギリス統治下のビルマ(ミャンマー)の王の息子がアメリカ人に殺された。犯人のブレカンは製材業の女経営者でビルマ人から信頼されるグウェンの元に逃れ…。
■RKOでバーバラ・スタンウィックとロバート・ライアンを主演にビルマのジャングルを舞台にした異国冒険活劇。オルトンのテクニカラーも見事。
アラン・ドワン特集ですが、可能ならば「悪の対決」Slightly Scarlet も上映したいんですがフィルムが手に入ってなくて残念です。また10年代のサイレントものも唯一「ドーグラスの蛮勇」Wild and Woolly 1917年 だけ上映しました。30年代の「スエズ」と「農園の寵児」もお見せしましたが、膨大な作品の一部ですね。
今回はテクニカラーの50年代2作品です。シンプルで力強い冒険映画ですね。「辺境の追跡」は日本では未公開でTVで放映されただけです。撮影はジョン・オルトンです。テクニカラーで上映プリントもテクニカラー16mmですから色の再現力には問題ありません。映画史からも忘れられたこういった作品を上映出来るのここちいいですね。それに主演はバーバラ・スタンウィックです。この人はやはり上手い女優さんですね。シンプルな物語を信じさせてくれます。ロバート・ライアンとのコンビはラングの「熱き夜の疼き/クラッシュ・バイ・ナイト」がありましたが、なんとも暴力的なちょっといかがわしいイメージがありますが、今回も暴力シーンはいいですね。一気に群盗と格闘するシーンは引きで十分魅せますね。強靭な肉体がいいですね。
舞台はビルマです。現在のミャンマー。イギリス領でした。
ビルマ王の息子がアメリカ人に殺されます。ビルマで製材所を経営している女社長がスタンウィックなんですね。
チーク材というのがありますね。高級家具に使われます。これを伐採して象に運ばせますね。それからビルマはルビーも名産です。この二つが物語の鍵ですね。撮影は当然ハリウッドですが、映画とはこうですね。スーパースコープです。これはスタンダード上映で上下をマスクでカットして無理矢理スコープにするんですが、今回は上下も入れてスタンダードで上映します。 このRKO、アライドなどが採用しましたRKOスコープとも呼ばれますがただ映写時にズームして上下をカットするだけなんですね。ですからそのままスタンダードで上映いたします。
「南海の黒真珠」との併映で、同じ年に監督したRKOのテクニカラー作品ともに16mmテクニカラー・プリントですから色彩は見事ですね。今のカラー映像とはまったく違う、黒がいいですね。いいたとえでもないですが、こってりした油絵ですね。それも異世界の話です。メイド・イン・ハリウッドの異世界です。ポリネシアの孤島とビルマ(ミャンマー)のジャングルが舞台です。撮影はジョン・オルトン。
女優はヴァージニア・メイヨとバーバラ・スタンウィックとブロンドの二人、男優はデニス・モーガンとロバート・ライアンと屈強な大男ですね。悪役はともにデヴィッド・ファラーです。
「南海の黒真珠」では巨大なタコが出てきます。そして「辺境の追跡」には象。そして虎ですね。アジアの動物です。
ぜひこのメイド・イン・ハリウッドの冒険映画を楽しんでください。シンプルで力強い物語です。
日本未公開でかつてテレビでは放映されたようですがソフト化もされておりません。必見です。
ドワンのようなサイレント時代から映画を撮り続けてきた人はよけいなことはしませんね。やはり〝物語〟を〝見せる〟のは映画だという確信があるようですね。
物語というのは旧ビルマでのことです。すべてハリウッドですからリアルとは程遠いんですね。50年代ですからすでにリアリズムの時代ですが、テクニカラーの彩色と、美術。ファンタジーのようですが想像されたビルマはまさに物語のためにあります。
〝嘘〟でいいんですね。いや〝嘘〟だから面白いんですね。
これが映画ですね。登場人物は悩んだりせずにすぐに行動に出ます。行動=アクションですね。感情はクローズアップで見えます。一瞬の悩み これはバーバラ・スタンウィックが無駄なく見せます。そして行動に移す。 展開が早いのはこれが出来るからですね。85分ほどの物語です。
善と悪の転倒。大団円への銃撃シーン。見せ場から見せ場へ、
長身で胸板の厚いロバート・ライアンの屈強なアクション。
余計なカット割りもしません。さあ見てください。
これが映画ですね。これでいいんですね。
動画による紙芝居 そんな感じです。グリフィスの〈バイオグラフ時代〉あるいはトマス・H・インス あるいは〈トライアングル社〉の70分前後の物語。それが映画の原型です。
まるで泰西名画ですね。
舞台は現在のミャンマーなんですね。
英国統治下の時代です。ですから英国の警察が動くんですね。
チーク材の製材所を経営しているのがバーバラ・スタンウィック演じる〝ママ・グウェン〟です。ビルマ人からそう呼ばれてます。チークは象が運びますから、象使いが必要なんですね。チーク材は乾燥過程において割れや反りが出にくいので高級材木なんです。またルビーの産地でもあります。
ロバート・ライアン演じるアメリカ人のブレカンは王の息子の友人ですが、ルビーを求めて奥地に行きますが、王の息子を殺すんですね。それで英国の総監が英国警察を派遣します。
屈強なライアンがいいですね。
日本では未公開でソフトもでてませんのでなかなか見れない上にテクニカラーですね。
ぜひこの冒険活劇をお楽しみください。
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