HK

護衛犬都市のHKのレビュー・感想・評価

護衛犬都市(1979年製作の映画)
2.8
赴任早々ヴィクトル・ラヌーの医者は警察に呼び出されて数時間前、強姦されたニコル・カルファンを診察するが、「飼わないと・・・飼わないと!」と奇妙な譫言を繰り返すので「なにを?」と訊くと「護衛犬に決まってっだろ!クソが!」と言い返されて物語ははじまる。その町は確かに犯罪も多かったが、護衛犬の数がハンパじゃなかった!というこのヘンな社会派スリラーは、あるいはフラー『ホワイト・ドッグ』(81)の元ネタか?と思ったらそのロマン・ギャリによる原作は75年発表で、ちゃうか。でも町で護衛犬が流行るようになったのは横行する黒人ギャングを追い払うためで通じるところはある。護衛犬だらけでこのままでは・・・と焦った町長は県に報告するべく資料を集めるが、諸悪の根源は森に住む犬の調教師ジェラール・ドパルデューだった。ドパルデューの元を、退院して用意した護衛犬を連れてカルファンが訪れる。同行したラヌーがショックを受けたのは、犬よりカルファンの方がオトロシかったからだ。「はよ噛み殺せ、アホンダラッ!」安全なんて幻想だし、質の悪い幻想は悪夢の未来予想図を描き出すだけでしかない。本作がどこかSFめいているのは、そういうメッセージが込められているからだろう。
HK

HK