櫻イミト

堕ちた天使の櫻イミトのレビュー・感想・評価

堕ちた天使(1945年製作の映画)
2.5
プレミンジャー監督の「ローラ殺人事件」(1944)の翌年のフィルム・ノワール。

流れ者の小悪党エリック(ダナ·アンドリュース)は立ち寄った小さな食堂の妖艶なウエイトレス、ステラ(リンダ·ダーネル)に一目惚れする。一方、興行で稼ごうとする"イカサマ降霊術"の話に一口乗り、反対派婦人会代表の資産家姉妹に取り入って許可を取り興行を成功させる。そして贅沢を望むステラのため、資産家の妹と偽装結婚をして財産を得ようとたくらむのだが。。。

先日観た「街の野獣」(1950)は口八丁手八丁の小悪党がプロレス興行で儲けようとする話だった。本作での降霊術興行は物語の導入に過ぎないが、当時から興行という金儲け手段が一獲千金の胡散臭いものと見られていたことが良く解った。

中盤まではあまり物語が進まず主役のたくましい詐欺師根性を感心しながら観ていたが、後半から一気に怒涛の展開になる。終盤は話が急展直下過ぎて、シーンごとカットがあったのではないかと思われるぐらいの端折りようで残念だった。

戦争直後の時世を反映した、刹那的になりふり構わず生きようとする人間描写は興味深かったが、映画の完成度としては失敗作の部類に入ると思う。
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