茶一郎

白い酋長の茶一郎のレビュー・感想・評価

白い酋長(1951年製作の映画)
3.9
【短】フェデリコ・フェリーニ監督の実質的な監督デビュー作。田舎からローマにやって来た若い新郎新婦が引き起こすドタバタコメディを描く、ネオレアリズモ出身の脚本家としてのフェリーニ というより、幼少期にカリカチュアを描いていたフェリーニ、後の作品群に繋がる風刺・喜劇映像作家としてのフェリーニの発現が垣間見える作品になっています。

 いざ結婚をして法王に拝謁してもらうという時に、どこか落ち着きのない妻は今までファンだった劇中ドラマ『白いシーク(酋長)』の主演男優リヴォリに会いに行ってしまい、妻と夫のすれ違いは始まります。
フェリーニのキリスト教的背景はもちろん、後の『道』に代表されるような物語に「結婚(生活)」を反映させ語る実にフェリーニらしい喜劇であると感じました。
何より妻がいなくなり落ち込む夫を励ます女性は何とジュリエッタ・マシーナ扮する陽気な娼婦カビリア。後の『カビリアの夜』に繋がるようなフェリーニの映画ユニバースを堪能できる作品としても必見の一本であります。
茶一郎

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