いろどり

ソフィー・マルソーの 愛人日記のいろどりのレビュー・感想・評価

3.0
ショパンと作家で恋人のジョルジュ・サンド、その娘の三角関係をズラウスキー監督が描く。

原題は「ノートブルー」。ノートには音符という意味があり、作中では「最後の一音」と翻訳されている。死期せまるショパンを端的に表した美しいタイトル。

作品の雰囲気を盛大に破壊する邦題はちょっとどうかな。日本でもソフィー・マルソーってそんなに人気だったのね。

美しい田園風景に絢爛豪華な美術、ドラクロワやツルゲーネフなど当時のロマン派の芸術家たちがサンドの邸宅に集まり、延々とから騒ぎが続く。

ショパンの曲がかかり続けるため見ていて楽しいけど、ズラウスキー監督なので哲学的なセリフが多く、結局、最初から最後までカオスだった。やっぱりズラウスキー節炸裂!

人気絶頂期のソフィー・マルソーはお肌ぷるぷるで、だまっていると綺麗で、口を開くと可愛くて、仕草や表情はじゃじゃ馬で、もうほんとに魅力が詰まってる。可愛いなあ。この頃はもうズラウスキー監督とパートナー関係になっていたのかな。

病魔がおそうショパン役は、「戦場のピアニスト」のヤヌーシュ・オレイニチャク。悲愴感漂う佇まいが作品の雰囲気にピッタリでとても良かった。

特筆すべきは、全身を布で覆った人たちが画面のそこかしこでコンテンポラリーダンスをしている。出演者はそれが目に入っていない設定。心象風景や、その場の空気感を表す特異な演出がズラウスキーらしく、ただの文芸ロマンで終わらせていない。
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