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キングダムのHALのレビュー・感想・評価

キングダム(1994年製作の映画)
5.0
ヒューマントラスト渋谷で15時間超えの『キングダム』I&IIと『キングダム エクソダス』一気見上映で鑑賞。夢と現実が混濁している可能性があります。善も悪もあることを心得よ。

今年これを超える映像体験があるのだろうか。流石に15時間を一日で観るのは体力が追いつかず、何度かうたた寝をしたり周りから寝息も聞こえてきたのだが、それでも全く減衰しない圧倒的な面白さ。一言で言えば北欧版『ツイン・ピークス』というか、オカルト全部煮の神経外科版『ER』といえばいいのか。たしか僕が観た最長の映画がワン・ビン監督『死霊魂』の8時間26分だったと思うので、これが(映画ではないけど)最長の視聴体験かも。

もともとトリアー監督は『メランコリア』がすごい好きで、でも苦手な作品も沢山あって、最近の『ハウス・ジャック・ビルト』が狂った視点人物の物語に捩れた妙に明るいユーモアが差し込まれるという作風が意外と楽しくて、自分の中での評価が不安定なままだった。そして『キングダム』、これはもうマスターピースだと思います。露悪的なギャグや非道なシーンは沢山あるけれど、奇妙なバランスでこの巨大病院が成り立ってる様が非常にスリリングだった。もう毎回のアバンタイトルで提示される「漂白」のための「沼」に建てられた精神病院というのが蠱惑的すぎるし、そこから流れるオープニングが異常なテンションの高さで(メタルっぽい曲かも)これからどこに連れて行かれてしまうんだろうとワクワクする。圧倒的な情報量とくだらなすぎるギャグと驚異的なビジュアルをぶつけられてしまったので、僕も喋り始めると混乱した患者や医療者のようにただ言葉の洪水に飲み込まれるしかない。内容についてはIIの感想で書きます。
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