KnightsofOdessa

キングダムのKnightsofOdessaのネタバレレビュー・内容・結末

キングダム(1994年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

No.885[御国を来たらせ給え] 100点

どの国にもある各国の「ツイン・ピークス」枠。ラース・フォン・トリアーの伝説的なテレビドラマ。主演のイェアゴーが亡くなったため第四章で幕を下ろしたことで伝説化が殊更進み、日本で手に入らないことから勝手に神格化されたテレビドラマ。洗濯池跡地に建ったバカでかい病院"キングダム"を舞台に変人たちの人生が濃縮された状態で繰り広げられる。本国では視聴率50%超えという国民的ドラマらしいのだが、これが国民的ドラマってのも中々な国民性だな。

第一章第一話 The Unheavenly One
姿の見えない不気味な救急車の登場で幕を開ける。嫌味なスウェーデン人医師ヘルマーは盗難防止のために車のホイールを外し、仮病で入退院を繰り返すドルッセ夫人は病室で患者たちと降霊会に興じ、ヘルマーと事あるごとに対立する若手医師クロウスホイはドルッセ夫人をSTスキャンに通したことを怒られ、院長のボンクラ息子モッゲは看護師カミーラの気を引こうと躍起になる。
ヘルマーは秘密結社に参加し、ドルッセ夫人はエレベーターで少女の鳴き声を聞いて少女の霊を見つけ、モッゲは自分そっくりの死体の首をカミーラに届ける。それぞれの一日が終わって新たな一日が始まる。

第一章第二話 Thy Kingdom Come
麻酔の掛からない患者に催眠術に掛けて手術を行うヘルマー、少女の霊を探し求めるドルッセ夫人、遂にユディトとのデートに漕ぎ着けるクロウスホイ、隠した首が行方不明になり窮地に陥るモッゲ、10年に一度会えるかどうかのガンに出会い患者が提供してくれるのを心待ちにする病理医ボンド。
院長は謎の挨拶運動を開始し、手術室に少女の霊が現れ患者に寄り添う姿を見せ、ドルッセ夫人はその幽霊=マリーの存在に近づき始める。浸水によって病院は徐々に沈み始め、ヘルマーはいつもの口癖"デンマーク人のクソが!"と叫び、ユディトは前の恋人"オーエ"との子供を妊娠しているとクロウスホイに告白し、新たな一日が始まる。

第二章第三話 A Foreign Body
マリーと交信して真相に近づくドルッセ夫人、下らない挨拶運動を本格的に始めるエイナル、別の目的から記録庫を狙うクロウスホイとブルーダー、その間を縫って記録庫に侵入したヘルマーは少女と犬の幽霊に出会い、ボンドは"理想的な腫瘍"を持つ肝臓を自身に移植しようと手術を開始する。
話があまり進んでない気もするが、ドルッセ夫人の狂った行動力によってマリーの謎が少しずつ紐解かれてゆく。遂には病院を飛び出して無人救急車の追跡まで始めた親子の最悪の発見を背に、新たな一日が始まる。

第二章第四話 The Living Dead
クロウスホイに弱みを握られハイチに逃げ出すヘルマーとそれに怒り狂うリグモー、恋人ユディトが透けて見えたことに驚きを隠せないクロウスホイ、カミーラの夢を見てご満悦のモッゲ、クロウスホイを味方につけマリーを供養しようと病院から追い出すドルッセ親子、お役人に挨拶運動を見せるエイナル。
妊娠11週目にしてありえないくらいお腹の膨らんだユディトの前にマリーの幽霊が現れ、産まれるべきでない赤子について警告する。一周回って生首が発見され、その叫びの中もう一つの生首が誕生する。病院中が叫び声に起き出す中、新たな章が幕を開ける。


トリアーを見た中では最も古い作品になるが、感覚としては「セレブレーション」に近い気がする。しかし、演出やカット割りはテレビ的で、そこに"ドグマ95"のような気取ったイズム先行の映像はなく、悪辣としたブラックコメディ製作を楽しんでいる節が見受けられる。個人的には本家「ツイン・ピークス」よりも好き。ただ、第二部はあんまり好きになれないので途中で停滞中。一応だけど、例の本に載っているのは第一部だけ。
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