菩薩

天空のからだの菩薩のレビュー・感想・評価

天空のからだ(2011年製作の映画)
3.8
早く大人になりたいガールが経験する通過儀礼の先の奇跡とはたかだかあの様なものであり、もはや現代においての宗教は支配と服従の為の口実に過ぎないなんて言う強烈なメッセージを感じるが、そもそも宗教なんてものがその様に堕落したのは何世紀も前の事であろうと…。そうして地上に降りた彼女の身体はきっとこの先「聖人」を産み出す為の器としてマチズモの中で蹂躙されていくのだろうなんて、なんとなく多和田葉子の『聖女伝説』を頭の片隅に置きながら観ていたら、途中思いっきり『サタンタンゴ』なシーンがあって爆笑した、と言うことは猫もそうなのか…?私利私欲に塗れた世界で、車上に担がれて坂を下る磔のイエスは崖下に落下する、その埃を払う仕草が何故だか非常にエロチックに思える。バチカンを擁する国でのデビューがこれとはなかなかの鮮烈さと言えるのではないか。この先に『幸福なラザロ』があるのか。
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