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ロバート・アルトマンのイメージズのkitoのレビュー・感想・評価

3.5
なかなか怖いーーしかもあまりない怖さ。ゴジラ三昧後の気分のリセットになった。

作家性の強いアーティスティックな作風で少々難解。スザンナ・ヨークが精神崩壊していく童話作家を演じ、カンヌ国際映画祭女優賞(1972年)を受賞している。観終わってから知ったのだけど、リマスターの上映、円盤発売で界隈が賑わっていた。

オープニングのシークエンスは音楽とも相まって「刑事コロンボ」のようで期待が高まった。世代的に70年代の雰囲気は懐かしい。

終始、彼女の主観的視点で進むので、観るものは彼女と共に精神崩壊ーー "おかしくなっていく過程" を擬似体験することになる。現代風に考えると、統合失調症や解離性同一症なのだろう。前半はジャンプスケア的なシーンが多く、慣れるまで心臓がバクバクした。

劇中、主人公が創作している「ユニコーンを探して」の朗読がずっと流れるのが不穏な感じ(スザンナ・ヨークのリアル著作だと知ってビックリ) 劇伴は御大ジョン・ウィリアムズで日本人打楽器奏者ツトム・ヤマシタが参加。尺八が非常に不気味で荒涼としたロケ地アイルランドの気温がさらに何度か下がった感じがする。

ロバート・アルトマン監督は有名で名前は知っている。しかし、フィルモグラフィーに観たことのあるものがなく不思議な感じ。また、主演女優のスザンナ・ヨークについても初代「スーパーマン」シリーズと「ひとりぼっちの青春」は観ているものの、彼女の役柄に覚えがない。

70年代というとちょうど映画月刊誌「ロードショー」と「スクリーン」を読み漁っていた頃なのできっと記事やグラビアを見ていたのだろう。

同じテーマで傑作と評される一本にジョン・カサベテス監督の代表作「こわれゆく女」(1974年) がある。NHK BSで録画したものの、もう20年くらい放置したままなので、この機会に観ようと思う。
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