メイプルわっふるG

BATS 蝙蝠地獄のメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

BATS 蝙蝠地獄(1999年製作の映画)
3.0
殺人コウモリが大量増殖して町を襲う動物パニック映画。ヒッチコックの『鳥』オマージュ(パクリ)あり。序盤サスペンス・スリラー、転じて怒涛のパニックホラー。満月を背景に飛び去る群れは無駄にかっこいい。

ガーゴイルの亜種みたいな凶悪な顔したデカいコウモリ。その正体は政府絡みの生物兵器。科学者の研究により、高い知能、組織行動、攻撃性、雑食性、その上それらの性質を感染させるウイルス保有。たった2匹の逃げたコウモリが、ものの数日で100万単位に増殖。雑食性のため人を喰らい、大群で町を襲う。

醜い顔で思考するコウモリがキュート。大群はCGだけれど、アップの造形は手作り感あふれるモンスター顔で好み。あどけない瞬き、小首をかしげたり喰らいつく前の威嚇など、感情豊かで可愛らしい。ドアをノック(体当たり)したり、坑道を飛ぶ群れのスピードが防護服の人間速度に追いつけないという鈍臭さがあったりと、なかなか愛嬌あるキャラクター。

また、コウモリ主観視点の映像も多く、動物パニックの定石を踏まえている。昆虫系の複眼映像と違って多少歪んだくらいなので臨場感にさほど影響はないものの、人間視点やブレブレ映像との切り替わりで明確にコウモリサイドの視点が分かるため、彼らの見る世界や狙いを教えてくれる。
ぶっちゃけ襲うこと以外伝わってこないけども。

群れで一斉攻撃するだけでなく、斥候タイプや隠密タイプなど様々な個体による見せ場もある。
日常生活に忍び寄る単独行動や、こそーり人の背中を這い上がる先駆け隊、更には人間の手先となったコウモリを始末する制裁役までいる(どうやらオリジンの2匹らしい)。
それでも最優秀個体は、やっぱりラストのお約束を覆したダイハードBAT。わずかな出番にも関わらず、この存在のおかげで好感度爆上がり。

登場のコウモリは絶滅危惧種のポリオセファルスという設定。別名フライングフォックス(空飛ぶ狐)。実物は、その名の通りキツネっぽい大型コウモリ。こちらはフカフカしてて本当に(一般的な感性で)可愛い。
それが作中では醜悪な容貌に。敵認定しやすいし、その手の造形は大好きだけれど、元々可愛かったものを何故に改悪した。ギズモか。

というか、逃げた実験コウモリは2匹のみなので、数百万のコウモリは元々生息していた種がウイルス感染で変異したもの。それにしたって数百万も住んでいた筈はないので、感染後に巨大化しつつ増殖した模様。
顔の造形が(本物の)フライングフォックスに変異していたら、小動物好きにはパラダイスになったやも。大量の可愛い小動物が人間を喰い散らかす映像も見応えありそうだ。

ルー・ダイアモンド・フィリップスは『ヤングガン』や『ラ・バンバ』で知った俳優さん。『ヤングガン』ではナイフで活躍していたけれど、こちらでは名射撃ぶりを披露。宙を舞うコウモリを次々撃ち落とす。
顔がラッセル・クロウに見えることしばしば。パーツは似ているのに顔はまったく違うって面白い。かなり昔、短編ホラーで長髪自慢の傲慢な若者役を見た覚えがあるけれど。。作品名不明。気になる。


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