TAK44マグナム

ヒルズ・ラン・レッド -殺人の記録-のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.6
血で染まったフィルムこそが本物だ。真紅に染めあがったフィルムでなければ「本物の恐怖」は映らない。
だから、時には命さえ捧げなければならないのだ・・・・・


「ヒルズ・ラン・レッド」という幻のホラー映画を追い求める青年たちの悲惨な末路を描くスプラッターレベルの高いスラッシャーホラー。
かつて、「13日の金曜日」や「食人族」では本当に撮影時に殺人が行われたのではないかと裁判沙汰になったり、「スナッフ」のようにそれをウリにした(勿論、ウソ)のポルノ映画が話題になったり、「ギニーピッグ」を観たチャーリー・シーンが「本当に人を殺しているぞ!」と警察に通報して騒ぎになったり・・・と、ホラー映画と特殊効果に現在ほど知識と理解が無かった頃には色々と事件がありましたが、本当に、フィルムに「恐怖」を深くすり込む為には何が必要なのかを頼んでもいないのに教えてくれるのがこの映画・・・なのかもしれません。


ホラー映画ファンの青年タイラーは、20年間も封印されてきたという謎多きホラー映画「ヒルズ・ラン・レッド」のフィルムを求める自主ドキュメンタリー映画を撮影しようと考えていた。
「ヒルズ・ラン・レッド」は予告編しか現存せず、監督のコンキャノンもその行方は知れずじまいであったが、彼の娘がストリップバーで働いていることを突き止める。
今となっては彼女、アレクサこそが唯一の手がかりであり、麻薬漬けになっていたアレクサを立ち直らせたタイラーは協力をとりつけた。
友人のラロ、恋人のセリーナと共に、既に故人であったコンキャノンが晩年を過ごしたという山小屋を目指すタイラー。
しかし、そんな彼らを監視する目があることに気づいてはいなかった。
はたして、フィルムは発見されるのか?
殺人鬼ベビーフェイスの秘密とは何か?
深い森の中でタイラーたちを待ち受ける運命とは・・・?!


ものすごく簡単に麻薬中毒が克服されちゃうところからして先読みが出来てしまう浅いストーリーではありますが、一本の過激なホラー映画に隠された真実を巡る骨子はそれなりに面白い。
映画を撮っていたつもりが、とか、「本物の映画」には何が必要なのか、など、映画好きなら思わずニヤける内容だと思います。
ただ、中盤が少しダラけるのは難点。
殺人鬼ベビーフェイスが本格的に活躍を始めるまでが長いので中弛みを感じました。
前半は、非常に残酷な「ヒルズ・ラン・レッド」の予告編の中でしかホラー的な事が何も起きないですし。
予告編自体は良い感じにゴア描写がたたみかけるので、本当に本編を観たくなりましたよ(←重症)
特に、女子の肩口からブチっと切断されてしまうのは酷すぎて好き(←不治の病)

また、後々の展開を思うとアレクサの思わせぶりな行動が不自然なのも、そこいら辺はシナリオ上のミスディレクションなのでしょうが、些かズルいような気もしますね。


赤ん坊人形の顔を縫いつけた殺人鬼であるベビーフェイスが本格的に暴れだしてからは、みんな程よく狂ってて、並みのスラッシャーよりかは1.5割増しぐらいで楽しめました。
死体劇場で延々とゴリゴリのゴアを観せられる精神破壊系の拷問は、いくら願いが叶ったとはいえマジでやめてくださいレベル(汗)
ホラー映画ファンていうのも因果なものですなぁ・・・と、しみじみしてしまいましたよ。


幻の!とか、超過激!とか言われると、ついつい何としてでも観てみたい衝動に駆られるホラー映画ファンの気質を逆手にとった内容はポイント高し。
結局はタイラーがバカなんですけれど、そうは思わせないで話を牽引してゆけるのも、ひとえにこの映画を観る層が、そもそも「もう1人のタイラー」だからなのでしょう。


セリーナ役のジャネット・モンゴメリーは、どこかファムケ・ヤンセンみたいな雰囲気の女優さんですが、濡れ場あり、全身真っ赤っかあり、しかも最後は最悪な状況で大絶叫・・・と、かなりの熱演。
アレクサ役のソフィー・モンクも、ストリッパーになったり、殺人鬼に追いかけられたり、サディスト化したりと大変魅力的なタラコ唇の持ち主。
どちらかというと女優陣の頑張りに支えられた作品でございました。
マスクの殺人鬼がツルハシを投げつけてくるようなキャンプマーダー系がお好きなら、オススメです。


ゲオ宅配レンタルにて