爆裂BOX

JIGSAW ジグソーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

JIGSAW ジグソー(2004年製作の映画)
3.7
連続して起こる猟奇殺人を不吉な胸騒ぎと共に捜査するジャコモ・アマルディ刑事は、現場に残された血文字から犯人が人間の剥製を作ろうとしていると推理するが…というストーリー。
「SAW」に便乗する気満々のタイトルとジャケットですが、勿論、中身は「SAW」とは関係ないサイコ・サスペンスで、イタリア産の正統派ジャーロでもあります。
男女三人が殺される事件が発生。捜査を担当したジャコモ刑事は不吉な予感を覚える。その予感通り第二、第三の犠牲者が出て、更に身体の一部を切り取られて人形の物と変えられていた、という内容です。
序盤から剥製にするための鳥を捕まえようと罠を仕掛けていた犯人が、青姦していたカップルとそれを覗いていた老人を次々射殺するシーンは次々殺していくシリアルキラーか!?と思わせますが、殺人のシーン自体はそれほど多くはなかったですね。殺人シーン自体はそれほどインパクトのある物ではないですが、両腕を切断されて人形の腕と挿げ替えられた死体、足に食い込む刃物、首を切断されて人形の首が置かれた体といった描写はそれなりにグロいです。
死体に人形のパーツをつける連続猟奇殺人、余命僅かで入院中の老刑事の見るフラッシュバック、そして現場や老刑事の元に残された血文字等の手がかりを追う主人公達といった展開は正統派なサイコサスペンスといった感じで楽しめます。ヨーロッパ映画独特の暗く陰鬱な雰囲気も登場人物たちに不穏で不吉な予兆を感じさせるものになっています。メインの事件に思わせぶりなエピソード絡んできてこんがらがらせるのもヨーロッパっぽいですね。
それと並行して描かれるストーカー事件の相談に訪れた女子大生と主人公の刑事の恋愛も一種のアクセントにはなっていたんじゃないでしょうか。
主人公は冒頭で女性を襲おうとしていたレイプ犯を丸腰でも構わず足撃ったりして「ダーティーハリー」みたいな暴力刑事かと思わせますが、それにしてはナイーブ系だなと思ったら、中盤で重すぎる主人公の過去が明かされて「だからあんなに性犯罪者に憎悪燃やしてたのか」と納得しました。
終盤の犯人に拉致されてパーツとられそうになるヒロインと犯人のアジトに踏み込む主人公の姿を交互に映す演出は分かっていてもハラハラしました。間に合わなかったか…と思わせてからの展開も嫌な緊張感味あわせてくれましたね。
犯人の正体は「コイツが犯人じゃないかな…」と思ったやつでしたが、ベタすぎて逆にわからない人もいるかも。最後登場した時髭なかったんで誰かわからなくて「ぽっと出の奴が犯人!?」と混乱しました。
犯人が作った「人形」が動き出した時は急なホラー演出にビックリしました。でも結局犯人が「人形」作った理由や、人形のパーツと挿げ替えた理由はハッキリ語られなかったな。「狂ってるから」という事なのかな。
ヒロインのルームメイトや付き纏ってる男子学生は怪しげだったけど完全なミスリード要員でしたな。
じっくり腰を据えて雰囲気楽しむサイコサスペンスという感じで、この「SAW」に似せたジャケットとタイトルのせいで大分損してる作品ですね。しかしここから便乗タイトル&勝手に続編シリーズ始まるとは思わなかったな…