高級ホテルに定住している興行主の男が、宿賃の滞納を棚上げするべく、あらゆる手段を講じていく。戦前戦後のハリウッド喜劇を牽引したグループ、マルクス兄弟の第8作目。
本作のグルーチョは、総勢22名の舞台役者をホテルに住まわせている興行主。宿泊代の未払いをひた隠しにしており、チコとハーポ、後から参加する若手作家など、一部の人間たちと共に支払いの先延ばし作戦を決行していく。
様々な人物が何度も出入りする、シチュエーション・コメディ仕立てになっており、ミュージカル演出と楽器演奏のシーンは登場せず。嘘の病気を装ったり、後援者との契約を大急ぎで進めたり、俳優諸氏のアンサンブルを楽しむことができる。
ホテルのオーナー役を演じる性格俳優ドナルド・マクブライドが魅力満点であり、「Jumping Butterballs!」と叫びながら、キリキリ舞いする姿が滑稽極まりない。マルクス兄弟を見るための作品からは、良くも悪くも逸脱している印象を受ける。
