拘泥

コックファイターの拘泥のレビュー・感想・評価

コックファイター(1974年製作の映画)
4.1
闘鶏映画という他に類を見ない設定で,かつ多層な側面を見せる佳作.何とも地味ながら渋いスポ根映画的汗と涙の熱血にも見え,一方COCKという名の関する通り鶏はもとより,生々しい暴力(特にその強い発露は初見の女性を通してのみ映った)とそれを単著に表す剣,鶏にホワイト・ライトニングとか名付けてうきゃうきゃと「おい,デュエルしろよ」して金を回す南部男のホモソーシャルといった男根的な,あまりに男根的な表彰に対する距離も同時に感じるのである.この見る人によって色変わりする感じが非常に良くできている.私的には後者の方を見て取るけどもね.常に「短い剣」ばかりなことはマッチョイズムに対するポークビッツ揶揄と取ることはいささかいき過ぎた解釈だろうか.いずれにせよ主人公の狂気が非常に面白い.闘鶏のために家まで賭けて負けまくるやつが,喋んないという誓いを半ばその場のノリと意地で立てちゃって幾年たってるんだけどその喋んな方がなんか指降ったりするだけでアホ過ぎる.そんで周りに伝わりまくってるのもウケる.顔の演技がうますぎてなんか伝わっているようである.更にはこいつが何年も沈黙してまで獲りたいメダルは,別に勝てばとれるもんじゃなくて主催者の気分.それでなおあの暴力を理解してもらえると思い手紙を書き,そしてあの衝撃の肉千切り.おもれえよバカ.
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