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コックファイターのchanmoreauのレビュー・感想・評価

コックファイター(1974年製作の映画)
3.6
ロジャーコーマン追悼の意も込めて
モンテヘルマン74年作をUネクで初見

聖林映画のエンドロールにはいつの頃からか
「本作で動物は一匹も危害を加えられてません」
という注釈が必ず入るようになった
コンプラ重視でマイノリティに対する前に
動物に対して配慮が先立っていたのでは?
とさえ思ってしまう
そんな動物愛護的な観点からすれば
本作は最悪の一作と言えるかもしれない

何せ主人公は闘鶏に憑かれてトレーラーも
家も売り恋人にも愛想を尽かされる
鶏達はバタバタと犠牲になっていく
この描写で「鶏は傷ついていません」とは
とても言えないだろう😅
それでも男は闘鶏をやめられない

日本では「白い戦士ヤマト」みたいな闘犬
題材はあるけどマンガなので流血の
ヒリヒリ感はそこまで訴えてこない
対して本作のリアリティはヤバいものがある
「絶対に損をしてこなかった男」コーマンが
なぜ本作を製作したかは知らないが
南部闘鶏組合の協賛とかあったのだろうか
ともかく「強烈な男どもの世界」なので
観慣れてない方は注意が必要だ

そんな世界の真ん中にいるウォーレン
ペキンパーの諸作でも良い味出してるけど
本作では闘鶏大会でメダルを取れず
「もう一度取るまでは喋らない」という
何とも強烈なキャラ設定😅
遠藤憲一みたいな強面が本当は話せるのに
ひたすら身振りとアクションで通し
たまにニヤリと笑う姿がもうたまらない

特筆すべきは撮影監督アルメンドロスで
それまでは仏でトリュフォーやロメールを
撮っていたところ本作が北米映画としては
本格的な1本目で自然光を多用した照明は
こんな残酷な題材なのに柔らかい光で
思わず見入ってしまう
あの『天国の日々』が4年後だから
指名したのはヘルマンかコーマンか知らんが
目敏く目が高いと恐れ入ってしまう
鶏が翼をはためかせ傷付け合う残酷な姿を
煽り気味に時にハイスピードで撮った映像
それを美しいと感じてしまうこの倒錯感
今後CGやAIがどんなに発展しても
こんな映画は二度と現れることはあるまい😅
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