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ドーターズ・オブ・ドラキュラ/吸血淫乱姉妹のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.4
3P中にレズプレイ始まって、ひとりだけ寂しくふて寝するオッサンの哀愁…

古城の前にキャンピングカー止めてバカンスを楽しんでたカップル。古城にどんどん男が連れ込まれていくのを変だな…て気にし始める彼女と、どーでもええやん!って釣りに惚ける彼氏が吸血鬼美女たちに襲われる良く分からんエロホラー。

先月頭に『ダンウィッチの怪』と一緒にひっそりとレンタル開始してたのですが、やっと取寄せできたので借りてきました。副題通りの淫乱ぶりを発揮する吸血鬼姉妹が男を次々に連れ込んで性欲と食欲を満足させる楽しいお話でした。

プロローグで速攻レズセックスかますエロ方面へのブースト具合はなかなかのもの。舞台となる古城が『ロッキー・ホラー・ショー』と同じ屋敷のようで(ということは『回転』とも同じってことかな)、ゴシックな雰囲気も抜群でした。ずっとエロいことばっかりやってても、ゴシックムードがあれば何となくそれっぽくなっちゃうんだな〜って思いました。というか最近『ロッキー…』見たばっかりやのに同じ屋敷やって全然気づかなかった…。

回収されない伏線や、辻褄が合わないように感じるところが非常に多いのですが、あまりにも堂々とスルーするのでただのポンコツとして切り捨てるべきなのか、何かの象徴としての物語として見るべきなのかの判断が難しい作品でした。5日で脚本書いたらしいので、前者のような気はしますが…。

解釈によってはロメロ監督の『マーティン』の元ネタなのではないかとも思えてくるし、その線で考えていくと、進むことのない時の中での彼女たちのしがみ付く儚さと揺らぎが重く響いてくる。そして、そもそも彼女たちは死んでいなかったのではないかとさえ思えてしまうほどに吸血鬼の定石からは外れており、辻褄の合わなさが作り出す妙に居心地の悪い空気感が彼女たちの儚さとともにそこに合わさることで、実は良い作品だったのではないかと思えてくる不思議な魅力のある映画でした。

というか私有地の看板出てる古城の真ん前にキャンピングカー止めて何日もバカンス楽しむカップルなんておるんかな。。。釣りと絵描いてる以外に何して楽しんでんのかわかんなかったし。でもそれもあの場に引きつけられていたのだと考えると納得できてしまうし、スルーされたように見えた伏線もしっかり活かされていたと思えてくるんですよね。う〜ん…不思議な映画!

向かう先に広がる2つに分かれた空間という選択肢を下っていく見せ方だったり、ワインセラーを挟んだやり取りだったり、背後に広がる地獄と此方側の日常を線引きした構図だったり、覗き込むフェチズムと背徳感を感じさせる映像だったりと、面白いシーンがいくつかありました。やっぱり嫌いにはなれない作品でした。
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