みむさん

9日目 〜ヒトラーに捧げる祈り〜のみむさんのレビュー・感想・評価

3.3
「ブリキの太鼓」フォルカー・シュレンドルフ監督作。アウグスト・ディールつながりで観た。

ナチスに協力して裏切り者となっても仲間の命を救うか、神父として信念をまげずにナチスを拒むか。一人の神父の苦悩のドラマ。
それとともに一人のナチス少尉がなぜかつて神父になることを諦め親衛隊に入ったのかということも描かれ興味深い。
聖職者になろうとした直前にその思想が変わって入隊してしまうのだなと。混沌とした時代のヒトラーの影響力ゆえだろうね。

ナチスによって強制収容所に送られたのはユダヤ人だけでなく聖職者もだった。
聖職者はダッハウ収容所に送られ、他の収容所同様過酷な労働を強いられるがあれでも他よりは少し優遇されてたらしい。

ナチスはバチカンと協力体制を敷きたかった。
なのでナチスはひとりの神父をルクセンブルク大司教の元に遣わす。猶予は9日間。
バチカンに直訴せず回りから固めていこうとするあたりは嫌な感じだな。

なぜその遣いに主人公クレーマーが選ばれたのか。ランダムなのかと思ったらきっちり下調べしてあるのね。

クレーマー神父とあの少尉、この9日間のうちに「使命」をやりとげないとどちらの身にも地獄と左遷が待っている。

人命の尊さと信念が相反するときの選択はキツいですな…