クシーくん

ゴリラの脅迫状のクシーくんのレビュー・感想・評価

ゴリラの脅迫状(1939年製作の映画)
2.5
この映画を観るまで存在そのものを知らなかったが、リッツ・ブラザーズという1920~40年代にかけて人気だった三兄弟のコメディグループがおり、本作はそのトリオを主役にしたホラーコメディ。

巷を騒がす「ゴリラ」を名乗る連続殺人鬼から脅迫状が届いた資産家が、ボディガードとして探偵のリッツブラザーズを雇った事で巻き起こるドタバタ劇。作中、動物のゴリラも逃亡して、謎の殺人鬼「ゴリラ」と本物のゴリラが錯綜するという紛らわしい、ゆるゆるなミステリ仕立て。

リッツブラザーズの芸風がことあるごとに大声を出して過剰でクサい演技をするだけなのでただイラつくだけで何も面白くない。ギャグもオーバーアクション以外は駄洒落みたいな下らないジョークしか言わない。同時代ではマルクス兄弟とよく比較されたようだが、少なくとも本作を観た限りでは彼らが残らなかった理由がよく分かる。ただでさえ三馬鹿が騒いでてうるさいのに、女中役のパッツィ・ケリーが事あるごとに金切り声をあげて叫ぶのも辟易。ベラ・ルゴシが怪しいようで怪しくない、でもちょっとだけ怪しい、自身のイメージを逆手に取ったセルフパロディのようなコミカルな演技だけは面白い。

余りにも無理があるどんでん返し、人をバカにするのも大概にしろ!と言いたくなるような話だが、からくりだらけのお屋敷ギミックはそこそこ楽しい。

志村、後ろー!はこの頃からやってたのか。
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