みおこし

アイドルとデートする方法のみおこしのレビュー・感想・評価

アイドルとデートする方法(2004年製作の映画)
4.7
映画ライフ振り返りシリーズ。生涯ベスト10の次点に来るのが、まさかの本作です。フォロワーの皆様、本当に筋金入りの映画好きの方ばかりなので、そんな皆様にこそ、ぜひ国内では無名に等しい本作を一人でも多くの方に知っていただきたく、そしてご覧いただきたく!!
『キューティ・ブロンド』は、ラブコメの金字塔的作品で私もあれは本当に名作だと思ってるんですが、その監督が手がけたんだったらもうハズレなしでしょう!

邦題は微妙すぎますが、あらすじとしてはハリウッド俳優タッド・ハミルトンと恋に落ちてしまう田舎娘とその親友のお話。ありがちな話なんだけど、ここまで出てくる人が全員いい人の映画も珍しい。そして、くすぐるわくすぐるわ、乙女心(笑)。観終わった後の気持ちよさは、数多くあるラブコメディ作品の中でもピカイチの隠れた名作。幸せのおすそ分けをしてもらえます。

まず大前提として、ヒロインに共感できるかがラブコメは大事ですが、ケイト・ボスワーズの男女ともに好かれそうなあの人柄の良さ!完璧です。どこにでもいそうだけど、唯一無二の輝く女の子。
幼馴染ピート役のトファーも、パッと見ると全くイケてないのだか、静かな演技の中に「超いい人」っぷりが確かに表現されていて圧巻。この後にスパイダーマンの宿敵ヴェノム役を筋肉ムキムキで演じると思うとこれまた面白い(笑)。いわゆる草食な男性を演じていますが、その眼差しセリフ1つ1つが真に迫るというか、きっと男性が観ても彼なら共感できるのでは、と思うのでかなりキーパーソン的な存在です。

そして本作のMVPは、今をときめくジョシュ。普通こういうプロットだと大抵嫌な奴になりがちな役=タイトルロールのアイドルですが、主人公の田舎娘にとことん惚れ抜く「ピュアな」ハリウッドスターを演じており、これまた絶品の演技。イケメンな好青年役なんて特徴がなさ過ぎて、1番難しいはずなのですが、よくぞここまで愛され役のタッドを演じきったなあと、役作りの裏側にきっと苦労があっただろうな、とホロリ(笑)。
この作品以降、トファーもジョシュも人気を確立していくことになりますが、それも納得です。

作品全体としては、とにかく丁寧!!主役から脇役までキャラが立ちまくりです。田舎町リッチモンドのスーパーマーケットで主役ロザリーとピート、親友のキャシー(『ワンス〜』シリーズのジニファー・グッドウィン!この子も最高!) が働いているという設定、お店の内装や他の店員さん。まずはここでぐっと心をつかまれた。このお店のシーンだけで3人がこののどかな街で、どんな人生を歩んできたか、どんなキャラクターなのかが丸わかり。だからこそ、この後カリフォルニアに初めてやってきて目をキラキラさせて都会を見つめるロザリーの様子がグッとくる。
タッドとの初めてのデートから、ハリウッドからロザリーを追いかけてくるまでの流れも急展開だしあり得ないんだけど、きちんとロザリーのテンションの上がり具合とピートの下がり具合を映してくれるから、ここでがっつり感情移入可能。
多分脚本が面白いから、ここまで俳優さんたちも入り込んで演技できてるんだと思う。要所要所に入る、薪割りのシーン、タッドとマネージャーのシーン、バーのシーン、心が暖まるシーンの連続。特にバーのアンジェリカというバーテンダーの言うセリフ、ピートのラストのセリフは個人的には心に残る名セリフNo.1レベルです。

多分私がこの映画にKOされた理由は、この「丁寧さ」。撮影中のNGシーンを観ても本当にクルーが仲良く支え合って完成させたんだろうなと思えたし、愛に溢れた一本です。プロットがありがちだ、とか量産型のラブコメだ、とか色々言われることもある時代だけど、良作はこうやってそこらじゅうに転がってる。この作品と出会えたことで、主役4人の大ファンになったし、本当に心から出逢えて良かったという作品です。ラブストーリーという要素のみならず、日常で忘れていた故郷や慣れ親しんだ人たちへの感謝を思い出させてくれる要素もあります。
映画好きほど、騙されたと思って観て欲しい一本。胸を張ってオススメします!
https://youtu.be/GbcH9KCN4Xk(予告編グッときます!)
みおこし

みおこし