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牛泥棒のRyoSのレビュー・感想・評価

牛泥棒(1943年製作の映画)
3.9
西部劇なのに生煮えな展開が続く。町のとある人が殺されたと聞き、私刑しに行く話なのだが、一部を除けば士気も低く、復讐に燃えるというよりかはどこか物見遊山な遠足気分。こんなに気の抜けたテンションの中で私刑へと着々と近づいているギャップがしんどくて良い。

ヘンリー・フォンダが従来のヒーローとは一線を画しているのが良い。もしこれがジョン・ウェインだったら、ジェームス・スチュワートだったら、きっと正義を体現する行動をするだろう。しかしヘンリー・フォンダはただの傍観者であり、町のよそ者であるということでかろうじてそのイメージを汚していないにすぎない。

「多数決」というのがキーワードなのだが、議論といい一人だけいる女性のキャラといい今の日本の政治そのもの過ぎた。映画ではラストシーンの空気感がめちゃめちゃ自分好みだったのだが、さて日本の場合の結末は如何に?
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