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真夜中の銃声のmhのレビュー・感想・評価

真夜中の銃声(2000年製作の映画)
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WW2直前のイタリア・フィレンツェを舞台にしたサスペンス映画。
零落した貴族がサバイバルする話なのか、恋愛についての話なのか、はたまた倒叙ものなのか、どういう種類の映画なのか最後まで分からずに終わってしまった。問題の若者がけっこうなサイコパスで笑う。一貫性のないキャラ造形には、富裕層からみた得体のしれない貧困層という、優勢意識、差別意識も見え隠れする。命を(間接的にでも)奪ったことについてはノーペナルティなのかよと思った。
サマセットモームが1941年に発表した小説が原作とのことなんだけど、原作もこんな感じなのかね。
外国人は警察に登録する必要があると説明している警官は黒シャツ隊(=ファシスト)でいいんだよね? 警察自体がファシスト党の管理下にあったのか、それとも、警官がそれぞれの支持している政党ということで黒シャツ着てるのかはググったけどわからなかった。おそらくどっちもなんじゃないかと思ってる。
役者さんの演技や、美術、ファッション、完璧な撮影を楽めば十分元取れるタイプの映画になってるので、主旨がよくわからなくてもいいのかなーとも思った。
無理やり楽しもうとするなら、いくつかの関連作が挙げられる。
ロッセリーニの「戦火のかなた(1946)」はこの場所における戦後を扱っている。ウフィツィ美術館、ヴァザーリの回廊など、いくつか同じ場所を撮影している。
もう一作は「ムッソリーニとお茶を(1999)」で、イタリア・フィレンツェでだべってる富裕層たち=サソリ族が題材。つまりあの貴族たちはサソリ族ということになる。ただし、時代が少し若く1935年頃‐1940年頃がメインとなっているため、「真夜中の銃声」がはじまる前のお話となる。
個人的に「ムッソリーニとお茶を」がかなり好きなので、それを補強するという意味でも価値があった。
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