くもすけ

ユー・アー・ノット・アイのくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

ユー・アー・ノット・アイ(1980年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

金網によりかかる二人が見守る前を虚ろな目をした女が横切り、火消しに追われている消防隊に近づいていく。原作では車ではなく列車の事故だそうで、死体が多いのはそゆことなのか。何もない野原に車が転がっているのはそれはそれで不可解な光景ではある。女は死体の覆いをむいては聖餅を施すように小石の儀式を始める。画面にかぶさるモノローグは事態の説明にはならず、そのままもつれてある家に連れて行かれる。
正反対に模様替えされた家具、すべてがリハーサルのように見える「妹」のしぐさ、揺り椅子でこさえた沈黙の企み、微動だにしない女の頭を駆けるモノローグは世界への違和感を強調する。途中ナレーションが入れ替わるように聞こえる?
耳鳴りのような通奏も心地よいが、鼻歌、石の擦れ、扉を開ける音や同乗者の呻き声がはっきりくっきり繋がれ、彼女による世界が驚くほど見やすくコントロールされている。

フィルムは火事で消失したと思われていたが、09年にボウルズがかつて住んでいたタンジールのアパートで見つかった。ドライヴァーが意見を聞きたくて送ったものだが、駆虫剤を被った状態で発見されたらしい。ボウルズ見てないんかい