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僕の大切な人と、そのクソガキのGreenTのレビュー・感想・評価

2.0
ジョン(ジョン・C・ライリー)は7年前に奥さんのジェイミー(キャサリン・キーナー)に離婚され、未だに立ち直れず汚いアパートで引きこもっている中年男。ジェイミーが再婚することを告げに来るとさらに落ち込む。

ジェイミーはジョンにも新しい出逢いが必要だと、自分の結婚披露パーティに招待するのだが、全く人と交流したがらないジョン。独身女性に声をかけるように促されるんだけど、なんたってジョン・C・ライリーですから・・・。

そこに突如現れるモリー(マリサ・トメイ)。この映画のいいところは、マリサ・トメイなんですよ!『レスラー』で見せた「自由奔放に生きる、酸いも甘いも嚙み分けたシングルマザー」みたいなのに魅力を感じた人なら、この役どころ、すごい好きだと思う。

ジョンとモリーは一発で意気投合し、今までの人生が大きく変わるのを感じるジョン。モリーの息子、21歳のサイラス(ジョナ・ヒル)にも好意的に迎えられる。

しかし、だんだんとジョンはモリーとサイラスが異常に親密であること、サイラスは実はジョンの存在が気に入らないんじゃないか?と疑心暗鬼になっていって・・・・・

これってコメディなんだ!ところでこれの邦題って『僕の大切な人と、そのクソガキ』って、すごいですね(笑)。まあ原題の"Cyrus"もすごいいいタイトルでもないし、確かに内容がこれ以上なにも言えない感じはする。

ジョナ・ヒルにジョン・C・ライリーなんだから面白いだろうと思うだろうけど、爆笑ではない、けど人間観察的な?って思うかもしれないけど、「何気ない笑い」と言うよりは「滑ってしまった」のかなあ、みたいな。結婚披露パーティでジョン・C・ライリーが女の子に声をかけて無視されたり、ヒューマン・リーグの "Don't You Want Me" がすっごい好きでヴォリューム上げて踊りだすところ、あれって爆笑ポイントなのかなあ?

サイラスはお母さんのモリーに嫌われたくないから、陰で色々工作してジョンを遠ざけようとするから、サイラスとジョンが陰湿にやり合うところが面白いところなハズなんだけど、それもなあ。

登場人物が改心したり、お互い誤解していたのがわかり合ったりってのは普通、「ああ、こんなこじらせて解決するの?」って一回落ちてからだんだん良くなるじゃないですか?その「落ちて」が中途半端で、すぐ解決しちゃうので、ハラハラドキドキがないんですよね。すーっとは観られるんですけど。

ウィキに書いてあった批評で「有名な映画評論家を含め、たくさんの人が良質なシネマ、と思い込んでしまうような作品。女性が好きなインデペンデント映画に必要な要素だけを周到に押さえた陳腐な作品」ってのがあって「それだ!」と思った。さらに「これを観るならまだ『ジュノ』の方がマシ」と。

これって監督、脚本がデュープラス・ブラザーズなのよね。この人たちも微妙だなあ。私意外と観ているんですよね、この人たちの映画。変わった映画ばかりで、メインストリームになる気はなくて、自分たちの作りたいものを作りたいって意気込みは感じる。ネフリとも良く契約していて、ネフリって1か月サブスクすると途中から全く観たいものなくなってくるじゃないですか?そういう時に観る有象無象の映画の中では面白い方に入る、なので結構観ちゃう。あと『パドルトン』とか『ブルー・ジェイ』みたいな意外な佳作もあったりするので侮れない。

しかも今回は、スコット・フリー・プロダクションの制作で、リドリー・スコットとトニー・スコットがプロデューサーとして名を連ねていて、デュープラス兄弟とスコット兄弟って全然相関性がなくてへえ~って思った。

配役も、ハリウッドのAリスターではないけどメジャー映画に出ている人たちだし、この映画は少し一般受けを狙ったんだろうか?
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