エイプリル

ゴースト・オブ・ガールフレンズ・パスト/ゴーストたちの恋愛指南!のエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

主人公は軽薄なのに、とても美しい映画でした。
斜に構えてみると普通のストーリーというか割と凡庸な話ではあるんですが、細かな演出がとても凝っていて良かったです。
主人公はいかにも女たらしでクズで、それはまあ確かなんですが、ただのクズというわけでもなく過去の失恋から生じたトラウマから逃れるためにおじさんの教えにすがって今のような性格になったという話は好みでした。ちょっとした感動的な出来事で改心したという展開だったら気に入らなかったのですがこの主人公の場合は元々優しい面を持っていて、それをわざと隠そうとしているという設定だったので物語の結末にも納得感がありました。

それで、過去におじさんにかけられた教えというか呪いなんですが、ラストシーンではおじさんの口説き文句がどのゴーストにも一切通用しないという場面があってここがとても良かったです。おじさんの教え、「確かにそうかも…」みたいに思えてしまうところもあるのですが、そんなの通用しませんよってことを視聴者に見せてくれることで、視聴者もおじさんのカリスマ性というか呪いから解いてくれる流れは視聴後に与える影響のことも考慮していて、作品として責任感があまりに強くて逆にびっくりしました。
ただこのおじさんはおじさんで、別に主人公のことをプレイボーイにしたかったわけではなく、不器用ながらフラれている主人公を励ましたかっただけなんですよね。まさかマジでこんな風に成長するとは…って多分思ってたと思います。

それから過去現在未来にゴーストが飛ばしてくれるんですが、そこでの体験が非常に幻想的で、ちょっとソフィーの世界を彷彿とさせてくれるのがなんだか不思議な浮遊感があって心地良かったです。
後はケイコ。めちゃくちゃ良かったです。
最後にダンスで締めるところも、「達成できなかった過去を現在で清算する」という展開で、見たいなーと思ったシーンを全部見せてくれた良い映画でした。その分予定調和ではありますが、弟の未来のためになりふり構わず花嫁を連れ戻しに行くところは普通に熱いシーンですし、言われた通りに親父を殴ったところも良かったです。
エイプリル

エイプリル