Mikiyoshi1986

ナイトビジターのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

ナイトビジター(1970年製作の映画)
3.5
初観賞!
ベルイマン監督の作品で幾度となく主演及び共演を重ねてきたマックス・フォン・シドーとリヴ・ウルマンが、ベルイマン作品以外で唯一共演を果たした英国サスペンス映画。

『乱暴者』のラズロ・ベネディク監督がメガホンを取り、
肉親に殺人の冤罪を着せられた兄の復讐劇と、
囚人の身ながらも刑務所を自在に出入りする彼の脱獄トリックを二重構造で展開していきます。

まず雪景色と寒空の下、ほぼ半裸のシドーさんが走り抜ける異様な光景。
…観とるこっちが寒いわ!!

ベルイマン&シドーへ対する敬意の表れか、チェスを登場させる辺りにも『第七の封印』がどれほど当時の映画界に大きな衝撃を与えたかを窺い知ることができます。
斧でウルマンに迫るシーンなんかも『沈黙の島』を想起。

恋人、妹、弁護士、義弟…、復讐の魔の手が次々に忍び寄り、その捜査に乗り出す刑事との攻防。
服役中にも関わらず、復讐の鬼と化して目の前に現れる兄ははたして現実なのか、罪深き義弟の幻覚か?
それとも…

細かいところで釈然としない点は、原作を映像化した際に生じてしまう非現実性ということで目を瞑るのも大事かと。

幕切れも少々強引で力技は否めませんが、種明かしされる脱獄の経緯と早急に独房へ戻らなければならぬハラハラ感は一番の見所であり、
また悪を一手に下す善の所在もこれまた重要なポイントであります。

『ナイトビジター』なのにまったく夜を感じさせない明るめの曇り空(もしやガチ白夜?)が印象的でした。
あと本作『The Night Visitor』はもちろん「夜の訪問者」という意味ですが、
リヴ・ウルマンは同年にチャールズ・ブロンソン主演の別作品『夜の訪問者』にも出演してて、なかなか紛らわしいタイトルです。
Mikiyoshi1986

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