ゆきゆき

気狂いピエロの決闘のゆきゆきのレビュー・感想・評価

気狂いピエロの決闘(2010年製作の映画)
4.2
またこれはヘンテコな映画を見た。話がドンドンと明後日の方向に転がり、どこへ連れて行かれるか分からない。こういうの好きです。

スペイン内戦中、反乱軍に追いつめられた政府軍が、サーカス団員を強制徴収するところから話は始まる。衣装のままで戦わされるピエロ。「ピエロが鉈振り回して突っ込んできたら相手もビビるだろ」と指揮官。いや、そういうことでは・・・。

主人公は鉈振り回しピエロの息子ハビエル。父と同じピエロを目指しながら、大きな悲しみを目の当たりにしてしまったが故に、人を笑わすことを諦めざるを得ない。父の助言に従い反乱軍の大佐の下へ赴くも、結果として父を死なせてしまう。この辺りからこの主人公の運命が狂っていくのだと分かる。

泣き虫ピエロのハビエルとサディストなピエロのセルヒオを惑わせて、結果的に大きな悲劇を引き起こすファム・ファタルのナタリア。劇中で忠告される通り、全てにおいて自分に都合のいい相手などいない。飽くなき欲望を追い求めた果てに破滅していく三者だが、その行く末が予想できず、見ているこちらもクラクラする。

どうもこの映画、ヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞らしいです。こういう一癖も二癖もある作品が評価されるのはいいですね。
ゆきゆき

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