鰹よろし

スライドの鰹よろしのレビュー・感想・評価

スライド(2004年製作の映画)
2.1
 自らの罪の意識に端を発したが故のその事実を受け入れられないとする(いやどうにかして受け入れようとする)恋人との未来の展望及び逃避と同時に、ではいったいどこから抱いていたであろう恋人への罪悪感を辿ることで嫌が応にも避けられない現実が定まっていく。現在という絶対的な事実へと絶対的に訪れる恋人との別れへとフォーカスが絞られていく。未来を見据えたことでのある種の諦めと過去の懺悔清算による受容という名の覚悟もままならず、彼女の願い想いとは裏腹にピントが合っていってしまう。

 絶対的な別れを前にした混乱から自覚へと向かっているだろうそれぞれのパートがどうもまどろっこしく感じてしまうのだが、絶対的に避けられない別れというものを印象付けることで、それは即ち2人の出会いもまた避けられなかったことなのだという、誰にも覆さられるものではないのだという救い(赦し)を見出させるカタチにオトしたのは見事だったと想う。
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