爆裂BOX

恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
ロンドン在住の作家モーラーが何者かに頭部を殴られ意識不明の重体になる。パリから交換研修に来ていたブリュネル刑事はモーラーの主治医ゾネンフェルドに話を聞きに行くが…というストーリー。
イギリス産のミステリータッチのサスペンスホラーです。
物語は作家の殺人未遂事件を追う刑事が彼の主治医の女医や彼の関係者に聞きこみを行って真相を追っていく推理サスペンスタッチで進んでいきます。聞き込みを行っていくうちにモーラーの周囲に不可解な事故や死が次々と起きており、彼の持つ力が明らかになっていく過程は真相に迫るにつれて不安と恐怖がジワジワと増して行ってゾクゾクさせられます。前半から張られた墜落事故や月面のスペースシャトルの事故などが繋がっていく過程も引き込んでくれます。
モーラーの持つ強力なサイコキネシスによって引き起こされる惨劇の数々も崖から転落する車や燃え上がる学校などどれも印象に残ります。中でも旅客機を操ってビルに突っ込ませるシーンの強烈なインパクトたるや…!モーラーを演じるリチャード・バートンの能力を発動させる時のじっと相手を見据える眼力も凄まじい。自分の持つ能力に悩む姿を見せながらも神の代わりに汚れ仕事を行っていると惨劇を引き起こしていく姿も印象的です。その強力な生命への執着心も何だか身震いさせられます。
クライマックスの何とかモーラーの起こす次なる惨劇を食い止めようとする主人公の刑事や警部の姿にはハラハラさせられますし、そして訪れる大聖堂崩壊シーンの迫力とパニック具合はすさまじいですね。
ラストのモーラーの次なる標的は311を通過した後の日本人としてはかなり洒落になりません。生命維持装置を停止しても活発に活動する脳波を映した電子図のアップで終わるラストも不気味で強烈に印象に残りますね。
派手さはそんなにないながらも不気味で良質なオカルトスリラーだと思います。