【メドゥーサの力瘤】
昔、安価な版が出た時にDVDを買い、ずっと放置しており…やっとみたが、まぁオモロかった。
1978年の英仏合作。時期的にはオカルト映画とパニック映画のブーム後ですね。それぞれのおいしいトコロを摘んだような映画でしたが、やっぱりな乗り遅れ感。
で、混ぜた分、味わいはトンデモ・タッチ。日本未公開の理由もその辺りだろうか。原作あるそうですが、どこまで忠実なのだろ。
メドゥーサはロックオンしたものを石に変えてしまいますが、さらにその先…対象に手まで延ばして来たらどうなる?…という意図のタイトルでしょうか。
アイデアとしては凶暴。ひたすら破壊が続きます。自分の超自然パワーで、憎しみでロックオンしたものに破滅をもたらす…と信じる男の物語。リチャード・バートンが演じていますが、特異な目力からは嵌り役。
で、凶暴事件の捜査にあたるのがリノ・バンチュラで、いかにも足で捜査する、この時代らしき刑事で信頼感上々。
が、いちばん惹かれたのはリー・レミック。『オーメン』でのダミアンママを意識したキャスティングと思いましたが、本作でも似たような苦労でお疲れ様です。
この時40代ですが、お美しくてちょっとびっくり。最近、こうした硬質美人をあまり見なくなったので余計印象的。生粋のアメリカンだった筈ですが、英国インテリ美人に嵌りますね。前作の『テレフォン』では冴えなかった記憶があるのですが。
精神科医の役ですが、役立たず。その皮肉は効いていた。本来、心を治す筈の役がソッチに行くかと。…途中で予想つきますけどね。まあ、そもそもメドゥーサにカウンセリングってもねえって話ですが (笑)。
前半、小さな惨劇が積み重なり期待増。が、半端にリアルで進めながら、湧き起こる“何故?”に答えず、不条理で終わるから冷める。
最近、近視眼的に、部分の迫力などで観客を引っ張り、終わって俯瞰すると全体像は穴だらけ…て映画がどんどん増えている気がしますが、この頃から既にあったんだなあ、と実感映画史として学べました。
と、崖から落ちゆく、人に見立てた人形が生々しい。背徳的に爽快で、たまにこういうの見ないと視線がCG麻痺しそう、と反省したのでした。
<2018.4.25記>