とり

尻怪獣アスラのとりのネタバレレビュー・内容・結末

尻怪獣アスラ(2004年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

確か何かのテレビで宣伝みたいなので初めて見て、強烈なインパクトだったのが忘れられません。
なんでこんなZ級バカ映画をテレビ番宣してたのかは謎。
なんの番組だったのかなぁ、よく覚えてないや。
まずそのクオリティの低さにただただ圧倒されます。
一昔前の家庭用ホームビデオで撮影したんじゃないかと思うほどの画質。
もちろん画面サイズは昔懐かしいテレビサイズの4:3。
ビスタはおろかシネスコサイズなんて夢にも出てきそうにありません。
そして絵的な構図は一切考慮されてなさそうなカメラワーク。
ただただセリフを発する俳優を斜めから撮ってるだけ。
何よりすごいのは背景が初期プレステ以下の映像で合成されているところ。
きっとロケもままならなかったんでしょう。めんどくさかっただけかも。
そしてパニック映像にいたっては、どこかの資料映像でも使ってるんじゃないかと思われます。
結構工夫は凝らされてますね・・・努力のベクトルが明らかに間違ってますが。
学生の映画サークルは言うにおよばず、私でももっとましなものが撮れるんじゃないかと、真剣に思います。
つらつら書いてしまったけど、技巧的な部分は置いといてもいいんです、こういう映画は。
どれだけおバカが炸裂してるか、どれだけZ映画への愛情が感じられるか、それのみ。
結論から言うとかなり楽しんでしまいました。謎の後ろめたさ。
まず全体を流れるどうしようもない空気。狙ってなさそうなゆるさもなんかいいです。
そしてちょっとした会話のやり取りがみょうにおかしい。
主人公がお尻に異変を感じて訪れる最初の医者とのやり取りが最高にツボってしまいました。
病室もなんだかおかしいし、会話も下品。きっと下ネタ系がダメな人はとことんダメでしょう。
そもそも尻怪獣になる原因からしてもう・・・。
バカンスに出かけた先で謎のカエルからお尻に乱暴されてしまったのが発端らしい。
そして最初の医者から紹介されて、その筋(どの筋だか)で有名だという日本人の医者のもとを訪れるんですが、なんか勘違い日本人なんだけど許せてしまうキャラ。
見た目なんて明らかに中華系なんですが。しかも名前がワンサムサキって。
そして治療がキテますキテます。
なんか核収縮棒?だかなんだかを肛門に突っ込んでの治療。そして術後は塩水で浣腸して放射能を中和してくださいだって。
バカな主人公はその言いつけを守らなかったがためにアスラになってしまうんですねー。
ひとりでに夜な夜な出歩く尻、恐ろしく安っちいハリボテです。
画面の外でスタッフがポーンと放り投げてる姿が容易に想像できる動きです。なんか可愛いです。
尻でドアノブをまわして外の世界に行ってしまうんです。
手に負えなくなった主人公たちを助ける一人の男がこれまた日本人。名前はタシラ。微妙にいそうな気がする名前です。
さすが日本の怪獣映画が好きだというスタッフが作っただけありますね・・・?
モスラとかゴジラあたりにリスペクトしてるみたいですが、「クレヨンしんちゃん」が一番影響してるんじゃないかという疑問も残ります。
ちなみにタシラもどこかしら韓国系っぽいです。しかも英語がしゃべれないからなのか、完全に口パクです。わざと英語のできない俳優を使ったのか予算の都合なのか判断つかない微妙なラインです。
最終的に自爆テロでアラブ人が世界を救うことになるというオチがなんとも皮肉。
深い意味がありそうですが、きっとないでしょう。
特攻最中にアラブ人の携帯に奥さんからしつこいほど電話がかかってくるあたりちょっと面白かったです。
妻子あるごくごく平凡な男の命をかけたサクリファイスな行動にはちょっと感動すらしてしまいました。
でも自爆テロの後に待ってるのは処女たちに取り囲まれた楽園だそうです。
他に自分のことを「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターだと思いこんでる女刑事とか、主人公の冤罪に苦しみ罰を与えて欲しい、尻をぶって欲しいとせがむ男刑事、主人公の同僚のオモシロ黒人など、かなり個性的というか意味もなくアクの強いキャラがいっぱい。
何よりも日本の配給会社アルバトロスが一番すごいと思わされる作品でもありました。
邦題もパッケージも予告編も神の領域。
きっとアルバトロスの社員さんは大量のZ級映画を観まくり、他の誰よりもZ級作品を愛してる人たちに違いありません。
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