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デイズ・オブ・グローリーのmhのレビュー・感想・評価

デイズ・オブ・グローリー(2006年製作の映画)
5.0
WW2当時、自由フランス軍に参加して戦ったフランス領アルジェリアのアラブ人兵士たちの話。
両親たちをフランス軍に虐殺されたという過去を持つムスリムである彼らがドゴールの演説に心打たれて、フランス解放ために命をかけて戦っている。
いっぽうで、フランス人たちのほうは有色人種たちへの差別意識がすごいでおなじみ。
そりゃあ「アルジェの戦い」みたいなことになりますわなという、この映画とは関係ない興味を持ちつつ視聴。
昇進させてくれない問題、食事の分配、私信の検閲など軍隊におけるさまざまな差別が描かれる。
ラストはフランス・アルザスの解放。
序盤の山岳戦もそうだけど、ラストの市街戦(農村だけど)もすごい迫力で、ストレートな戦争映画としてすごいよくできている。
戦没者として埋葬されることでフランス人のアラブ人もようやく平等になったという締めくくりと思いきや、ラストのスライドには、アラブ人たちに支払われる退役年金をフランス政府が出し渋っている(=いまだ差別が終わっていない)という状況が記されている。
で、この映画自体が、フランス政府を動かして退役年金問題を解決してしまったという、すごい展開を迎える。
自国カンヌ映画祭での男優賞受賞が後押しになったということもそうだけど、映画の力を感じられるトピックはいつ聞いてもいいものだね。
素直で勤勉なムスリムたちを好意的に描いているというのも良かった。だまし続けてたらそりゃあ怒るだろという状況が「アルジェの戦い」で、それはいまのアフガニスタン問題にもつながっていく。
同時系列の「涙するまで生きる」とあわせてみるとさらにいい。
勉強にもなったし、面白かった!
mh

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