続けていきます韓国作品🇰🇷
サンレンチャン⭐️
今度は激渋、変態、奇天烈、トンデモ満載のキム・ギドク先生の90分足らずの作品をチョイス。
なかなか…の作品でございました。
面会のシーンで「あ…これ観たことある」となりました。まさかの2回目でした。
今回の方が断然楽しめた。
ハ・ジョンウも今となっては知っているし、キム・ギドク監督作品も当時より沢山観ているという意味でも十分に咀嚼しながら楽しめました。
チアは夫(ハ・ジョンウ)とひとり娘の3人で暮らしているが、夫は浮気している。夫は娘の面倒をよく見てくれるのに妻には関心がない。チアはそんな日常に疲れ切っているように見える。
陰気臭い女であることは間違いない。
一方、死刑囚のチャンは喉を歯ブラシの柄で刺し2度目の自殺を図る。その自殺は毎回ニュースとなる。チアはそんなチャンに会いに刑務所へ行くようになる。
面会シーンは実に奇妙だ。
春夏秋冬に部屋全体を飾り立てる。
そのインパクトはすごい。
壁紙もきれいに貼るねん。
そりゃチャンもびっくりするよね。
そうしてチアはチャンによって息の出来ない日常から解き放たれる。チャンもまた彼女の面会によって生きる希望を得る。
不思議だけど妙に納得。
チアが作る翼がモチーフになった素焼きのオブジェは、彼女がまるで自由を求めるカゴの中の鳥であるかのように描かれる。
息をすることは大事なのだ。
息をさせることも大事なのだ。
相手がちゃんと息をしているか気にすることも大事なのだ。
夫は、死刑囚に会いにゆく妻を最初こそ咎め罵り阻止するが、妻の強い意志に気圧され最後の面会を許す。
この時の面会室での妻と外で娘と遊びながら妻を待つ夫の対比がシュールで面白い。ハ・ジョンウ呑気に雪だるまなんか作ってやんの。
ハ・ジョンウの車のナンバーの5795と、チャンの囚人番号の5796…何やら意味深だし、ラストの、すっきりと満足を得た女と涙を流す男の対比は、女と男の違いをこれでもかと突きつけるものだった。
いろいろな愛がぎゅうっと詰まった舞台劇のような作品でした。さすがキム・ギドク。単純な作品は作らない。
おもしろかった。