幕のリア

シュトロツェクの不思議な旅の幕のリアのレビュー・感想・評価

4.1
ヘルツォークから見たアメリカ。
塀の中でさえ居心地よろしい地元。
隣人のお爺の誘いでアメリカンドリームに惑わされてみたら…

叶うはずもない夢や増幅された憧れは、安い労働力を何の保証もなく消費するための方便のため。
そんなアメリカの欺瞞の正体を訥々と晒す。

知性や理性が伴わない奴らの不幸は本人も自覚ないからいいとして、活かされる場所の無い主人公の感性や表現力が生殺しにされる様は辛い。

辛気臭く終幕かと思いきやトレーラーハウスの競売から怒涛の発狂コンボ。
マシンガンセリ口上がゴングとなり、謎の秘宝館みたいなラストマットまでブルーノの控えめなバイオレンスが痛ましくも痛快。
ただ、ラストシークエンスに映るネイティブアメリカンの多さが目につき、より義憤を煽るのだ。
幕のリア

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